2009年度、長崎県九条の会主催 講演会報告


2009年度 長崎県九条の会主催 講演会報告(日時:2009年12月5日、場所:アルカスSASEBO)
ピースフェスティバル in させぼ 平和のために 私たちにできること
講師 小森陽一氏 (九条の会事務局長)


小森氏の講演
高見氏の挨拶
  講演に先立って行われたアトラクションは、来年「日本のうたごえ祭典in長崎」を開催する「長崎のうたごえ協議会」による合唱に続き、創作ダンスそして「かちがらす」のバンド演奏で会場は「平和を願う想い」に包まれました。

 主催者を代表して挨拶された高見三明カトリック長崎大司教は故永井隆博士が「平和憲法」が先々危機に直面することを見通して殊の外案じられておられたとの逸話を披露されました。 不幸にしてその予見は的中しました。その意味では「憲法九条・平和」を守ろうと願う私達の運動は永井博士の願いと共にあると言えましょう。

 小森氏の講演は憲法にとどまることなく多岐にわたり、終戦直後から政権交代が実現した現在 に至る政治変遷に及び、時にユーモアを交えたお話に惹きつけられました。 事柄の一つ一つは新聞、テレビを通して目、耳にしたものでしたが、それぞれが密接に絡み合 う複雑な流れを系統立てて解説いただき大変勉強になりました。

 「酒井法子」氏の薬物事件報道が連日大新聞の一面に踊る異様さを例に挙げて、昨今のメディ ア操作による重要なニュース隠しが横行する実態を告発されました。  新聞、テレビで報道されることが極めて少ない「年次要望書(正式名:日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく要望書)」の存在やテレビコマーシャルのスポンサーにアメリカ金融大資本が食い込んでいる現況などメディアの表面的な見出しに惑わされることなく、世の中の流れを注意深く捉える必要があるとも訴えられました。

  年次要望書は1993年7月。宮澤首相とクリントン米大統領との会議で決まり、最初の要望書は2001年に始まったとされ、年次要望書を見れば近未来の日本が分かるとも、拒否できない提案とも言われている代物です。米国の利益が凝縮されたこの年次要望書が「建築基準法」「労働者派遣法」「郵政民営化法」「高速道路民営化法」他、多くの規制緩和法制定の流れを一層加速させたのは事実と思われます。

 「九条より日米安保条約が上位に位置する屈辱的な関係」にあるとの小森氏のご指摘こそ、日本がアメリカの第51番目の州の一つと揶揄されても仕方のない証でしょう。 小森氏は来年5月には「国民投票法」施行という節目に当たり、いよいよ護憲運動が正念場を迎えるとして、「守りの運動ではなく、攻めの運動に」と「九条の会」に集う一人一人の決意と連帯の必要性を強調されました。

 最後に「改憲勢力」をここまで押し止めているのは「護憲・平和」を願う世論であることは間違いない、共に頑張りましょうとの言葉で参加者を勇気付けられて講演を結ばれました。 今回、「大村市九条の会」は定期的に開催している「集い」に代えて「佐世保講演会」の成功に協力する体制で臨みました。

 会員への案内ハガキ、チラシ配布の呼びかけに応じていただいた大村からの参加者は35名でした。参加者一同、講演会の内容に満足して帰路につきました。 講演会を実質的に準備、開催された「九十九島9条&99条の会」事務局一同様のご苦労、ご尽力に深く感謝申し上げて報告と致します。

(掲載日:2009年12月10日)